【今昔景色】「菊元百貨店と林百貨店」台北と台南の百貨店
台湾の日本統治時代の百貨店といえば台南の「ハヤシ百貨」を思い浮かべる人が多いと思います。ハヤシ百貨は今でも別の形で当時の建物を利用して、台湾のお客さん、そして日本旅行者の多くが訪れる場所となってますので。
実は、台湾の初の百貨店は、台北の菊元百貨店であったことを知っている人は少ないと思います。林百貨店(ハヤシ百貨)より数か月先に開業しているんです。
今回は台南のハヤシ百貨と比較する形で、台北の菊元百貨店が現在どうなっているか紹介していきたいと思います。
それでは菊元百貨店からです。
菊元百貨店
基本情報
史跡名:元菊元百貨店
現在地住所:台北市中正區博愛路152號
創業者:重田栄治
参考資料:
https://tdal.culture.tw/single.html?asset=3e614dbc-01c5-4e94-aabc-eaf721174286
(中華民國文化部 臺灣數位模型庫)
跡地地図:
歴史
1932年(昭和7年)1月末 山口岩国市出身の重田栄治により菊元百貨店が創業
*台湾初の百貨店
1932年(昭和7年)12月 台南に林与一により「ハヤシ百貨店」が創業。
戦後 国民政府接収後、台灣中華國貨公司となる。
日本統治時代の写真
こちらの写真は紀元2600年の垂れ幕がありますので、1940年(昭和15年)当時のものになります。場所は、当時の地名で台北市栄町位置し、6階建ての手建物でした屋上部には「栄」の看板があります。これは創業者の「重田栄治」の名前から取った看板でしょうか?
1932年.jpg)
こちらの写真は建国際の垂れ幕がありますので、年代はわかりませんが季節は2月の冬です。屋上にはに展望台、5階にはレストラン「菊元」があり、台湾ではまだ珍しかったエレベーターがあり、台湾初のエレベーターガールがいました。

戦後の1945年10月25日以降は、「台灣中華國貨公司」となりました。

現在の状況(訪問記)
建物は現在の地名でいうと博愛路と衡陽路の交差点にあります。昔とは外観が随分変わってしまっています。意識して見なければ、この建物が、元菊元百貨店であることはわかりません。

現在のビル名は「国泰金融大楼」となっています。ちょうど交差点にありますので、日本統治時代もかなり目立っていたことに間違いないですね。台北の百貨店は、後ほど紹介する「林百貨店」とは随分違った状況になってしまってます。

林百貨
次にハヤシ百貨です。
基本情報
建物名:林百貨店
住所:台南市中正区忠義路二段63號
営業時間:11:00-22:00(林百貨の営業時間)
ホームページ(日本語):http://www.hayashi.com.tw/page.asp?nsub=A8A000&lang=J
*市定古跡
歴史
1932年12月5日 山口県出身の林与一によって「林百貨」が創業。
1945年3月1日には、大規模な空爆により建物が損傷。
戦後 損傷した建物は修理され、台湾製塩総工場等に使用。
1980年代 空きビルとなる。
1988年 台南市定古跡。
2013年7月 台南市のファッションビルFOCUSを運営する高青開発股份有限公司が委託経営権を取得。
2014年6月14日 文化クリエイティブ販売施設「林百貨」として生まれ変わる。
日本統治時代の写真
林百貨の前の通りは、日本統治時代には末広通でした。台南一の目抜き通りで、銀座通りとも呼ばれていました。現在の通り名でいうと、中正路になります。

こちらが日本統治時代の「林百貨店」です。現在の写真と比較してもほぼ外観は同じです。


歴史のところで1945年3月1日に林百貨の建物が損傷したと記載しましたが、この日はアメリカ軍の爆撃により台南に大きな被害をもたらしています。(臺南空襲)
当時台湾でもかなりの空襲があったことを知る日本人は少ないと思いますが、台湾各地で被害を受けています。写真は台南孔子廟付近の爆撃後の写真です。

現在の状況(訪問記)
次に現在の林百貨です。
こちらは、湯徳章記念公園から見た林百貨です。存在感が非常にありますので、すぐにわかります。少し異空間のような感じもします。

こちらが交差点(中正路と忠義路二段)から見た林百貨です。建物自体は歴史ありますが、古めかしさはないです。

特に林百貨は夜のライトアップが非常に綺麗です。見る場所、距離によって微妙に光の色が変わります。お勧めです。

林百貨のブログ詳細記事
林百貨は内部にも歴史ある設備(エレベータ)そして展示物があります。詳細は以下ブログ内で紹介していますので、参照してください。
今回は日本統治時代にあった台北と台南の百貨店でした。現在の姿は、非常に対照的になっています。台南の林百貨は、今も非常にお客さんが多いです。日本人旅行者もかなり多く、当時の賑わいを味わうことが出来るかもしれませんね。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません